学者が見落としたお金の仕組み

マスコミによる洗脳

まずお金に関して,マスコミ報道や教育に騙されていないか,チェックをしてみてください。次の中で正しいと思うものをすべて選択してください。

国の借金が膨らむと,将来世代のツケが大きくなる

国の借金は税金で返さなければいけない

税は国家予算の財源である

消費税は社会保障の財源である

公共事業はできる限り減らし,歳出を削減すべきである

できるだけ民営化をして税収を上げるべきである

国会議員の給料は減らすべきである

日本の公務員数はできるだけ減らすべきである

株式投資で得た利益にかかる税は安くするべきである

民間銀行では誰かの預金を融資に回している

銀行預金は消滅することはない

残念ながら,近年の日本においては全て誤りです。選択数が多い人ほど騙されているため,本書をすぐに読んでいただく必要があります。

マスコミも学者も政治家も言っているわけだから,そんなわけがない,と思うでしょうか?

では多数派が言っていることは何故正しいのか,即説明してみてください。

正しい思考をお持ちの方なら,「多数が言っていることは正しい」という論理は破綻していることに気づいているはずです。

ここで,多数派の考えが誤ったことで,必要のない迫害が起こった人類の黒歴史をお話しします。

天動説から地動説に

天動説とは,地球を中心に太陽や惑星が回っているという概念で,地動説は太陽を中心に地球や惑星が回っているという概念。これらの概念は紀元前からありました。

そして聖書には太陽が動いていることを示す記載があることから,人々は長い間天動説が正しいと信じてきました。同時に地動説論者を迫害し,宗教裁判にかけられるようなこともあったようです。1600年代に入っても学者の多数派は天動説を信じており,地動説を唱えていたガリレオはそのことでカトリック教会から有罪判決を受け,地動説を唱えないことを誓約させられるも,「それでも地球は回っている」という言葉を残したことは有名です。

このように地動説論者は異端とみなされていた時代,ポーランド出身の天文学者コペルニクスはそれより前に地動説の正しさに気づき,1529年頃からそれに関する論文を書き始めました。しかし迫害を恐れ,約30年もの間その論文を発表せず,死後直前に発表しています。

このころデンマークの貴族で天文学者のティコ・ブラーエは太陽系の惑星の観測を行い,膨大なデータを残しました。彼はこれを解析するため,何人かの学者を雇いました。その一人がドイツの数学者ケプラー。彼は火星の観測データを解析することで,次の法則を発見します。

第一法則:惑星の軌道は楕円でその焦点の一つに太陽がある。
第二法則:惑星と太陽を結ぶ動径は等時間に等面積を描く。
第三法則:惑星の太陽からの平均距離の3乗と公転周期の2乗の比は一定である。

これは高校物理の教科書には「ケプラーの法則」として必ず載っています。法則を見てもらうとわかる通り,これは地動説の立場に立った法則で,地動説が正しいかどうかを示すものではありません。しかし,この法則の発見は後のニュートンによって,大偉業であったことが判明します。

ニュートンは運動の3法則(作用・反作用の法則,運動の法則,慣性の法則)と万有引力を発見し,1687年に古典力学を完成させます。万有引力とは質量のある2つの物体があるとき,互いに引き合う力。質量M,mのある2つの物体が距離rだけ離れているとき,Gを定数として,その力の大きさは次の式で表されます。

$$F=G\dfrac{mM}{r^{2}}$$

これは誰が実験しても正しいとわかる普遍性のある法則です。この式から,惑星は太陽の周りを回っているものとして運動方程式を立て,微分方程式を解くと,ケプラーの法則のすべてが数学的に完璧に導出されてしまったのです。つまり,この時点で地動説が真実であることが決定的となりました。同時に大多数の学者やキリスト教信者の考えが完全に誤っていたことが判明した瞬間でもあります。信仰を否定する対象を否定し続けた結果,その信仰が科学によって完全否定されたわけです。その時の恥辱の念たるやいかほどのものか…なかなか想像できません。

結局天動説と地動説の論争は1600年以上かけて終焉を迎えます。これが少数派が正しく多数派が誤っていた1例です。

現代においてもこれと同様の人類の勘違いが起こっていないとは言えません。少なくとも数百年もの間,同様に多数の学者の勘違いによって起こっている悲劇があると私は確信しています。

経済学者は貨幣の本質を見落とし続けた

長い間私達の頭の中に巣くっている悪魔がいます。その悪魔が支配しているのが貨幣です。貨幣の正体とは紙幣や硬貨ではなく「人々の認識」です。何を言っているのかわからない人は,悪魔に支配されていると言えます。

国家財政破綻論を唱える学者や,緊縮財政政策を良しとする政治家がその典型です。

今回の著書ではその正体を数学の力で暴いていきます。と言っても最低限中学の最初に習う正負の計算がわかれば十分です。高校で扱う数学も若干出てきますが,それがわからなくても理解できるよう配慮しています。

さて,多数派の緊縮財政派と少数派の積極財政派の論争を観る機会が増えましたが,そこで気づいたことがあります。

現実の貨幣の仕組み知らない人同士でいくら議論をしても,進展することはない

そこで最初に,現実のお金の仕組みを徹底的に理解してもらうことにしました。具体的には簿記や財務諸表,内国為替や銀行の仕組み,国債の発行の手順,国家予算の作られ方,税の種類やその機能などです。

今回の著作の構成は以下のようになっています。

第1章 貨幣の定義
第2章 法人の定義
第3章 様々な債券
第4章 財務諸表
第5章 信用創造
第6章 内国為替
第7章 外国為替
第8章 マネーストックとマネタリーベース
第9章 日銀と国債
第10章 国債と通貨量
第11章 信用収縮とプライマリーバランス
第12章 税と社会保険
第13章 国家予算と税の機能
第14章 インフレと通貨流動圧力
第15章 思考実験編

最初に貨幣とはそもそも何かという説明です。次に法人の定義。これはあとで貨幣の仕組みを解説するとき,様々な種類の法人が登場するため,その準備となっています。8章以降は徐々に核心部分に入り込んでくるわけですが,第4章から第7章までを熟読しないと8章以降の理解が難しいため,頑張って読んでいただきたいと思います。

経済学者が見落とした法則

近年の日本において,緊縮財政政策が誤りであると気づいた少数の有識者の考えに触れるうちに,貨幣に関する重要法則を数式化することに成功しました。これを現預金貸借の法則ととりあえず命名します。内容は以下になります。

【現預金貸借の法則1】
$$\sum ^{n}_{i=1}S_{i}=\sum ^{n}_{i=1}F_{i}$$

【現預金貸借の法則2】
$$\sum ^{n}_{i=1}J_{i}=0$$

これは大学で商学を学んでいたり簿記や財務諸表の知識がある人なら,当たり前だとすぐにわかる法則です。詳しくは本書で解説しますが,理解できると,多数の経済学者が中学生でも十分理解できる単純な事実にたどり着けなかったことに驚愕するはずです。今までのマスコミ報道や教育は何だったんだと思う人もいるでしょう。

そして核心中の核心である,通貨量維持に関する法則も数式化しました。これも少数の有識者からヒントを得て導き出したものになります。

$$通貨量維持の条件:\dfrac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}n}\left( a_{n+1}-a_{n}\right) >0$$

少し難しい式ではありますが,言葉にすれば非常に単純です。負債に関する言及ですが,この意味を理解できると完全に近年の日本における国家財政破綻論の破綻を確信できます。

緊縮派の経済学者がこれを知れば顔が真っ青になることでしょう。単刀直入に言えば,自分たちは人殺しだったと気づくからです。日本では自殺者の半数が職を失った人であることが国の統計から明らかになっています。子供の7に1人が貧困化していることも言われています。その原因を作ったのは自分達経済学者であったと気づいたとき,その恥辱の念たるやいかほどのものか…やはり想像を絶します。

何故学者はこれを見落としたのか

学者たちは非常に狭い専門分野に特化して成果を上げようとします。その結果専門外の常識に乏しくなりがちです。これは非常に信じがたいことですが,実は経済学者の中には簿記や財務諸表の仕組みを理解していない人が大勢います。内国為替の仕組みも知らなければ,税の機能を知らない人もいます。私はこのことを学者が書くネットの記事などから何度も確認しています。つまり現実の仕組みを知らないまま,持論を展開しているわけです。

例えば「このままでは日銀の経営状況が悪化して大変なことになる」と主張する学者がいましたが,この発言だけで,日銀がどのように経費を使い,どのような会計処理をしているのか全く理解していない,とわかるわけです。(何故そう言えるのかは是非本書で確かめてください)

理学や工学の場合はたとえ持論を展開しても,実験によってそれが完膚なきまで否定されることが多く,謙虚な姿勢でいられるわけですが,社会実験となると簡単にはいきません。従って持論の誤りになかなか気づけないという側面もあります。工学が専門の武田邦彦氏が経済に関する本を出版すると,某経済学者から「専門外の者が何をえらそうに言っているのだ」と罵倒するような内容の手紙が送られてきて,非常に驚いたと述べています。このことからも経済学者の資質がうかがえると思います。

緊縮派にとどめを刺す

今回の著書の狙いは,そのような経済学者や専門家の言い逃れを未然に防ぐため,最初に世の中の貨幣の仕組みを詳細に説明する作戦をとっています。そしてあのニュートンが万有引力の法則を数式で示したように,財務に関する法則を数式化しました。これにより,積極財政の正当性が覆らない状況を作り出しています。すでに国家の緊縮財政の誤りに気付いている人も,これを読むことでよりクリアに頭の中が整理されるはずです。全く難しい話ではありません。中学生でも理解できます。国家の繁栄に関わることですから,どんな人も本書を読んでいただきたいです。それによって選ばれる政治家が変わり,ガタ落ちした日本の国力が復活することを願ってやみません。

税込1,760円/発売中

世界中が勘違い!政府の借金の本当の意味とは?

国の財政健全化で国民が貧困化する原理とは?

デフレでは消費税が全く不要である理由とは?

インフレが正常な社会現象である理由とは?

通貨量が増えたり減ったりする原理とは?

日銀がやっている「本当のこと」とは?

株式で得た利益は元々誰のものなのか?

GAFAが逃税をして私腹を肥やしている実態とは?

年金の運用は全く意味がない理由とは?

消費税が非正規雇用を拡大させる理由とは?

高所得者が利用する税制の抜け穴とは?

法人税を下げると国民の給料が下がる理由とは?

国民が資金を運用するほど国力が下がる理由とは?

著者プロフィール

1977年生まれ。千葉の田舎町で個人学習塾を営みながら,学習参考書の執筆を行っている。学習塾では主に高校数学と高校物理を指導。学習塾専用教材の出版を経て,2015年に合同会社微風出版を設立。これにより全国書店への販路を拡大。著書「導出物理(上/下)」「導出物理基礎演習編」「中学数学必修ワーク」「中学英語必修ワーク」

全国書店・ネット書店にて発売中!

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